時事通信バンコク発の記事のなかに南シナ海・識者談話チュラロンコン大学政治学部のスラチャート・バムルンスック教授の話がありましたので、下記に引用します。タイにロングステイ中の皆様も、今回の採決をタイがとのように受けとめているのか気になるところではないでしょうか。
◇ASEANの結束必要
タイ・チュラロンコン大学政治学部のスラチャート・バムルンスック教授の話 仲裁裁判所の判決をどうやって履行するかが課題だ。中国は判決を受け入れないだろう。判決後、政治的にはある種のこう着状態となることが予想される。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の結束が試されることになるが、ASEANには領有権争いの当事国である国がある一方、中国側を支持する国もある。ASEANはこの問題で共通の立場を取れないため、短期的には何もできない。
しかし、長期的にはASEANにはコンセンサスが必要だ。コンセンサスがなければ、ASEANは中国のような大国に対処できない。ASEANは一つ一つの国ではなく地域全体として行動しなければならない。そうすることが南シナ海問題の平和的解決に向けてASEANと中国の双方の利益にかなうと信じる。
南シナ海問題は単なる領有権争いではなく、地理や天然資源などの観点から見ると、米中間の「地政学的競争」と言い表すのが最も良いだろう。米中関係が悪化し、両国海軍の直接衝突という「熱い戦争」に転じないことを願う。(バンコク時事)